2005年07月05日

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。
 昨日お知らせいたしましたが、先日有楽町電気ビルにある外国人記者クラブにて行われました「サトウキビ酒フォーラム2005」に行ってまいりました。


実は今回このサトウキビ畑フォーラムに南大東でラム酒作りをされている金城祐子さんがいらっしゃるという事を聞きまして、行かせていただきました。

なにぶん外国人記者クラブという普段では絶対に入れないところにお邪魔する事になったものですから、服装はどうすれば良いのか、などから基本的なことからいろいろと考えつつ、また緊張しながら入ったのでした。

なお、長くならないようにするため最小限のレポートになりますことお許しください。 

(かなり削りましたが長くなりますので、その点ご了承の上以下をお読みください。
また、金城祐子さんの部分だけでもかなり長くなりましたが、
PCからご覧の皆様に限りですが、その部分を青書きにしております。)

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。サトウキビ酒フォーラムの実行委員会委員長狩野卓也さんからごあいさつがあったあと、講演会の始まりです。

ちなみに今回のフォーラムでは、暑い地で作られているいろんな蒸留酒、サトウキビを原料にしているものを一手に集めて色々な話を聞き、そして一気にいろんなものを試してみようという企画なんですね。

南国の楽しい雰囲気を楽しんでいただいて、こういう酒があったんだということを心の一ページに刻んでいただければと思っています、というあいさつで開会しました。

また、司会の山田聡昭さんから今回はハードリカー、蒸留酒のうちでも鹿児島の奄美の黒糖焼酎、カリブ海、そしてブラジルのお酒が集められたといい説明があった後、

「同じようなサトウキビから色々なお酒のタイプができてくるのですが、色々なタイプに別れていく製造工程の違いで追いかけます」ということでチャートを使った説明があり、

(1)サトウキビがどんな品種でどこでできているか

(2)原料処理の仕方=サトウキビをシンプルに絞ってジュースにしたものを原料にするもの・煮詰めて黒糖にして原料にしていくもの・白砂糖にした後に残る副産物、糖蜜というものを原料にするもの
(3)醗酵するときの方法=麹というカビを使って作る方法、日本を始めとして東アジア全体に広がっている方法でラムやカシャーサにこの方法はない
(4)蒸留=できた醸造酒を加熱してアルコールの高い度数で抽出すること、いろいろな蒸留酒の形やタイプがあり、その蒸留器の使い方で味わいが様々に変わっていく

※これら(2)~(4)の過程で黒糖焼酎、カシャーサ、ラムなどタイプが分かれていくそうです。

(5)最後、貯蔵や瓶詰め(ブレンド)などで様々な味のバラエティが出てくるというのが大まかな見取りだそうです。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。さて、パネラーさんのお話が始まりました。最初はバー「スクリュードライバー」の海老沢忍さんがラム酒の話をされました。

ラム酒とはサトウキビの絞り汁や、絞り汁を煮詰めて砂糖の結晶を取り出した後に残る糖蜜に加水して醗酵、蒸留して作られるということ、世界中には約1500社が6000種類ぐらいのラム酒を作られているといわれているそうです。

サトウキビの起源はパプアニューギニアといわれており、インドネシアや中国ではないかという説もありそこから西へ西へと進んだあと、スペインにサトウキビが到達したと言われているそうです。また、ラムの発祥は17世紀のはじめにバルバトス諸島へ移住してきたイギリス人がサトウキビから蒸留酒を作ったという説と、16世紀にプエルトリコにわたったスペインの探検隊がラムを作ったという説があるそうです。

語源についても昔の英語で「興奮・バカ騒ぎ」を意味する「Rumbullion(ランバリオン)」という意味から来ているといわれているそうです。

また、ラムの製造方法としてさきほど出てきました糖蜜というものを醗酵させて作られるインダストリーラムという方法と、サトウキビの絞り汁醗酵で作られるアグリカルチュラルラム(フランス語でラムアグリコール~アグリコールラム)の大きく二つに分かれるそうです。この後出て来る南大東のラム酒、は後者の方法(アグリコールラム)ですね。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。
そのあと、西麻布にある「タフィア(Tafia)」の多東千恵さんがカリブ海に浮かぶマルティニーク島のアグリコールラムの話をされ、

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。
RITSUKOMORITOさんがカシャーサの話をされたあと、

さきほど最初に登場してきた実行委員長の狩野卓也さんが奄美の黒糖焼酎の話をされました。
2年前から本格焼酎のものすごいブームがあり、色々な焼酎が飲まれるケースが増えてきて、その際に黒糖焼酎を飲まれるケースも増えてきているのですが、原材料はサトウキビなのでジャパニーズラムと称する方もいらっしゃるそうですが、外国の人から見るとラムだろうといわれてしまうかも知れないが、大きな違いがあり、沖縄と鹿児島の間にあり不思議な地域であり、もともとは独立していた地域が琉球王国の植民地になったり、鹿児島の地域に組み込まれたりと色々な文化が出たろ入ったりしていたのですが、昭和20年世界大戦後アメリカの支配下になった時にサトウキビが輸出する事もできなくなってしまい、貯まってしまったサトウキビを原料とした黒糖焼酎のベースができたと思ってもらうと良いでしょう、という話でした。

日本に復帰した時、ちなみにサトウキビを原料にした酒はラム扱いとして当時は高い税率がかけられたそうですが、当時の方の知恵で麹を使い焼酎を使う事で「奄美諸島でのみ」黒糖焼酎作りが許されたそうです。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。

といろいろな話を聞きましたあと、本日のメインゲスト、南大東グレイスラムの金城祐子さんが登場されました。

金城祐子さんは那覇市で生まれ、本人曰くとてもうーまく(あばれんぼうとかやんちゃとかいう意味らしいです)な子だったと言っておりました。

それまではコンピュータの入力業務の会社、お年寄りの皆さんと一緒にイベントを企画する会社、今はなきアステル沖縄などに勤めていたり(沖縄電力の子会社という位置づけだった会社)していたそうですが、その沖縄電力で社内ベンチャー制度というものがあり、そこがきっかけでグレイスラムができたそうです。

そもそも金城さんのお酒好き、泡盛党だったという金城さん、友人が那覇にバーを出したということでその店に良く飲みに行くようになった時も最初は泡盛ばかり飲んでいたのだそうですが、カクテルに手を出したらそのカクテルにはまってしまい、カウンター越しに見えたラム酒のボトルが見え、そのボトルを手にしたことでサトウキビがラム酒の原料ということを知ったそうです。
沖縄にはサトウキビ畑がありながらも、サトウキビを飲む習慣が全くないといっても過言ではなかったためにバーに来るまでサトウキビからできるというのはバーで知ったとのこと。

沖縄でもラム酒からできるのではないか、と思い立ち、外国人の友人からもサトウキビがこれだけあるのにラム酒作らないのという話になり、ラム酒ができれば本当の県産品の地酒ができるのでは、とひらめき沖縄電力の社内ベンチャーに応募したらいけそうだという発想、また沖縄県の基幹作物はサトウキビなんですが、畑は最近はどんどん少なくなり、後継者もほとんどいないため高齢者の方が頑張って絞っているという状態、この中で沖縄でラム酒ができればサトウキビ農家も頑張ってくれるかな、ということで提案してみたそうです。

インターネットで検索をかけてみたところると島自体が砂糖の歴史を持つ島、ということで事業計画を立てる中で南大東島という場所を選んだ金城さん、事業計画を書いて実際に島に渡ってみると本当に島一面サトウキビしかない島でこれだけ観光に特化した島も珍しい島だと思いながらも「よし、この視までサトウキビからラム酒を作ろう」というのがいっそう膨らんでいったそうです。

やはりサトウキビしかない島なため、ラム酒がサトウキビからできるというのは島の方々も知っていたようなのですが、実際に誰がやるの?というところで具体的にやれなかった、という伝統が南大東島にはあり、金城さんが島に入っていく事によって島の方とタイアップして行けばうまくできるのではという自信に満ち溢れて社内審査を受けていったそうです。

実際に会社を立ち上げるまではこれほどまで注目を浴びるとは思っていなかったとのこと、実際に沖縄では泡盛が圧倒的な人気なのでわざわざラムをなんで作るの?また、南大東へは那覇からも飛行機で一時間かかる島で輸送コストもかかる島で何でわざわざやるの?というのが、沖縄電力の役員さんから言われた課題だったそうですが、金城さんの積極的なアピールによって審査が通ったとのことです。

小さな島だったのでみんなが賛成してくれたわけではなく、皆さんに理解してもらうためにも時間がかかったこと、税務署への手続き関係にも時間がかかったそうです。

つまり、税務署の考え方としては安定した税収を確保するために新しい酒造所はできるだけ認めずにできるだけ既存の酒造所、それも大きな大手メーカーだけを残して生きたいという考えがあるため、新規の酒造所を作るためには「資金量・酒を造れる人がいるか・原材料を調達できるのか・またそのお酒が売れるのか」というハードルがあったのですが、その中でも一番苦労したのが酒を造れる人の部分だったようで、沖縄の泡盛メーカーでも腕利きで有名な玉那覇(たまなは)力さんを工場長に迎える事でハードルを乗り越えました。

技術力のある方を迎えられたことが一番の自身になり、おいしいラム酒が倉庫にて眠っているそうです。

昨(2004)年の12月に創業、サトウキビからラム酒を作る事が始まりました。

半年間の熟成後出荷していこうというコンセプトがあるそうで、7月30日に発売日を設定したそうです。それまでの間問合せをいただいて待ってもらっていたといるという現状ですが、何度も何度も工場長さんが味を確かめてGOサインが出たそうです。

今月7月30日にまず島内の方を優先に発売したのち、それから全国展開していく予定だそうです。

いま、グレイスラムは新聞やマスコミに何度も取り上げられて話題ばかりが先行してしまっていて商品ができておらず今日(当日)商品も持ってこられなかったとお詫びしておりましたが、まず一番思うのが今まで日本でラム酒に特化したメーカーがなかったということもあってこれからラムが日本でブームになるきっかけになれば良いなと思っているそうです。

思いも寄らなかった数の取材、ラムの話をする事によって今までラムを知らなかった方からももちろん飲んだことがない方からもグレイスラムの話を聞いたという方からも問合せが入ってきているそうです。

実際に商品がまだない段階で発展途上のまん真ん中な会社ではあるものの、少しでも一人でもラム酒に興味を持ってくれている人がいるというそういった現状をメールや電話で感じ取っているそうです。

このグレイスラムを通じて今回サトウキビフォーラムに参加された皆様方とともにサトウキビの面白さ、味わい深い面白さを見聞していこうとおもっています、話でということであっという間の時間が過ぎてしまいました。

なお、金城祐子さんのことを詳しく知りたい!という方は宙出版というところから「金城祐子さんのはたらくココロエ」という本が出ておりますので是非お読みください。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。

金城祐子さん「サトウキビ酒フォーラム2005」レポート。

最後、今回残念ながらグレイスラム自体はありませんでしたが、今回の話に出てきた色々なお酒の試飲会がありました。
その時、金城さんにお願いして写真を撮影させてもらいました。

かなりご多忙な中撮影にご協力いただきました金城さん、ありがとうございました。

なお、グレイスラムのCORCORの発売日が決まりました。
詳しくはグレイスラムのページをご覧ください。


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Posted by もたち(mota) at 23:10 │各種レポート